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【Tech Japan Lab導入事例_トラベリエンス様】自社組織と変わらない、グローバルなエンジニアチームづくりを実現

Tech Japanでは、テック領域でグローバル採用に取り組む日本企業のニーズに応えようと、2021年、インドデジタル集団による開発支援サービス「Tech Japan Lab」を立ち上げました。グローバルに活躍するエンジニアの採用が難しくなる中で、インドにいる優秀なエンジニアの時間や稼働を複数社でシェアし、成果を提供する仕組みです。 実際にどんな風にサービスをご利用いただいているのか。今回は株式会社トラベリエンスさんにお話を伺います。株式会社トラベリエンスは、世界中の旅行者とツアーガイドとのマッチングプレイスを提供。2021年から「Tech Japan Lab」を利用いただき、ウェブ上で展開するマッチングサービスのリファクタリングを進めてきました。今回は、代表取締役社長の橋本直明氏と、担当したプロジェクトマネージャーのDeb Kumar Mondalの対談をお届けします。 株式会社トラベリエンス 代表取締役社長 橋本 直明(hashimoto naoaki) 1979年、東京都生まれ。2002年に早稲田大学卒業後、新卒でアクセンチュア株式会社金融サービス本部に入社。主に業務改革プロジェクトに従事。2007年、株式会社リクルート旅行カンパニーに転職し、国内旅行のじゃらん、海外旅行のAB-ROADで営業に従事。2012年4月に退職して世界一周へ。9か月間30か国を旅したのち、2013年1月に帰国。同2月に株式会社トラベリエンスを設立。平成25年度から観光庁 「通訳案内士制度のあり方に関する検討会」委員。 Tech Japan株式会社 Deb Kumar Mondal 1994年インド ドゥルガプル生まれ。インド工科大学ムンバイ機械工学科を卒業し2016年、日本企業へ就職。来日してインターンシップしたことをきっかけに日本の技術に興味を持ち、日印連携の様々な機会があると気づき、現在も課題解決を続ける。大手企業の研究開発エンジニアやマネジメント及び戦略コンサルタントを経て、現在、Tech Japan Hub /Tech Japan Labのプロジェクトマネジメントの責任者として従事。日本とインドの間に立ち、両者のスムーズなコミュニケーションのサポートや、情報提供などを行う。エンジニアリング組織を作っていく中で大切にしていることは、各エンジニアにオーナーシップを理解していただき、ワンチームとして開発をしていくこと。 <長期的に維持できる、グローバルなエンジニア組織を必要としていた> ーはじめに、株式会社トラベリエンスさんの事業内容を教えてください。 橋本 直明氏(以下、橋本):世界中の旅行者と観光ガイドをマッチングする、ツアーマーケットプレイス「GoWithGuide」を運営しています。観光ガイドに旅程を相談し、カスタマイズツアーを作ってもらうことができるサービスです。 お客様の99.9%は外国人ですね。ウェブで世界中の旅行者の方々を集めてくるのは難しく、日本でもあまりやっている会社がありません。私たちは外国人スタッフを採用し、外国人の目線でサービスを作り上げることで、マッチングを生み出し売上を伸ばしてきました。 ーその中で、Tech Japan Labをご利用いただいたきっかけは? 橋本:エンジニア採用が難しくなっている中で、自社だけで組織を作り、維持するのが困難だと感じたことがきっかけです。これまでは直採用でやってきたのですが、自社だけの組織では経営が危機に陥った時、組織を保てなくなる恐れがあります。サービスの根幹を担う開発チームが止まってしまうのは、経営者にとって恐怖。であれば、外部の強いエンジニアチームと契約関係を結ぶことで、長期的に必要な体制を維持したいと考えたのです。 お客様の目線に立つためには、外国人中心のチームが良いと思いました。そこで海外を拠点とする開発会社にご依頼することにしました。 ーTech Japanを選んでいただいた決め手はなんだったのでしょうか。 橋本:会社や人としての信頼感で選びました。複数社から提案をいただき、どの会社さんも外国人エンジニアをたくさん抱えていて予算と体制をプレゼンしてくれたのですが、Tech Japanさんからは圧倒的にクライアントに寄り添う気持ちを感じました。 システム開発は、バグが起きるなど難しい局面が多々あります。サービスが止まってしまうと私たちには大打撃ですので、すぐに直さなければならない。しかし開発会社にとっては直接的な打撃はないので、対応が遅れる場合があります。自社サービスではない分、責任感が欠けてしまうんですね。しかしTech Japanさんは最初に話をした時から、社員と変わりない責任感と、オーナーシップを持って対応してくれる姿勢を感じられました。それは、実際に仕事をする中でも間違っていなかったなと思います。 Deb Kumar Mondal(以下、Deb):私からも、最初に「ワンチームで開発していきたい」とお伝えしました。Tech Japanでは、エンジニアが良い環境で、オーナーシップを持って働くことを大切にしています。ただそれを実現するためには、お客様にもチームのメンバーになっていただく必要があります。橋本さんにはそこをご協力いただけると感じました。1年経ちましたが、その印象は変わっていません。 <内製チームと変わらない仲間意識、モチベーション> ー実際に、どのようなプロジェクトを進めて来られましたか。 橋本:2014年に作ったサービスのプログラムが古くなってしまっていたので、サービスの挙動は変えずに内部構造を整理するリファクタリングの開発をお願いしました。1年やってみて、自社メンバーと変わらないチーム感と仲間意識を感じています。良い意味で期待を裏切られました。 Deb:ありがとうございます。バグの発生と対応で時間が取られてしまい、どうしても遅れが生じる場合もあります。バグは避けられませんが、担当しているエンジニアはオーナーシップを持って解決に動いてくれています。そのことが一番の成果かなと感じます。 橋本:そうですね、ワンチームになれていると感じます。そこは、プロジェクトマネージャーのDebさんの見えない努力だと思いますね。 ーDebさんは、チームを作る上でどんな工夫をされましたか。 Deb:正直な話、エンジニアはより良い給料を求めて、良いオファーがあればどんどん職場を移っていくのが現状です。その中でどうやって「ここで働きたい」と思ってもらうか。そのためには、良いチームがあることが重要だと考えています。 Labで大事にしているのは、メンバーのパフォーマンスを最大化すること。そのためにマネージャーは上に立つのではなく、一番下からエンジニアを支えるべきだと思っています。エンジニアにこの環境を気に入ってもらえることが一番ですね。実際、今入っているエンジニアは「この会社にフルタイムで入りたい」と言ってくれています。プロダクトに興味を持ってくださって、モチベーション高く開発ができており、どんな問題が起きても逃げ出さない信頼関係ができていると感じます。 それには橋本さんのご協力も大きいと感じます。例えば夜遅くに問題が起きた時、連絡が迷惑になってしまうんじゃないかと懸念すると、仕事の効率は下がってしまいます。今はそのような懸念なく、いつでも声をかけられる環境になっています。ワンチームのメンバーになっていただいていると感じます。 橋本:本来、エンジニア組織のアウトプットを最大化するために、クライアント側も力を使わないといけないと思うんですよ。直採用だったら、エンジニアのモチベーションをヒアリングして、キャリアアップなどのニーズを満たすためのマネジメント工数を使うわけですから。でも今はそこに工数を使っていなくて、お任せしています。むしろ、私自身のオーナーシップが少なくて大丈夫かなと思っているくらいです。少なくとも邪魔はしないように、変な口出しをしたり、コミュニケーションを阻害したりしないように気をつけています。 …

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​一歩踏み出す不安に寄り添い伴走する。インド人エンジニアと日本企業のwin-winな関係づくり。

TechJapanでは、インド⼯科⼤学等と連携した新卒採用をサポートするプラットフォーム「TechJapnHub」を運営しています。TechJapnHubでは実際にどのように採用を進めていくのか?どんな成果が出ているのか。パートナーサクセスを担当し、日本企業に伴走する​​​新井健士さん​​に伺います。​  ​​新井 健士​ (Kenji Arai) ​​<プロフィール>3歳までタイ、バンコクで過ごす。青山学院大学を卒業後、展示会や国際会議の企画・運営を行う外資系企業に入社し約10年勤務。その後、Webマーケティングを行う企業に転職し、英会話スクールの運営をはじめ、高度インド人エンジニアの採用事業サービスの立ち上げに従事。2022年、TechJapanに入社しパートナーサクセス部門を設立。 <インド人学生のインターン採用〜入社に伴走、その先の自走を支援> ーはじめに、Tech Japan Hubのサービスと、その中での新井さんの役割について教えてください。 インド⼯科⼤学(IIT)等の優秀なインド人学生の新卒採用を行えるプラットフォームです。短時間の面接だけで採用すると、ミスマッチが多く発生してしまい定着が難しい場合が多いため、インターンシップを通じて学生の特徴やスキル感を見ていただいたのちに採用の意思決定ができるプロセスをとっています。 私は企業様のHubのご利用が決まったところから、候補者の選定、面接へのアテンド、採用のオファーや採用後のフォローまで、一括してお手伝いしています。 お客様は、中小企業から上場企業、スタートアップまでさまざまで、業界もロボット、AI関連、建築関係など多岐にわたっています。みなさんほとんど外国籍の人材を採用したことのない企業様です。一方で、日本でエンジニアを募集してもなかなか優秀な人材が集まらず、インド人エンジニアの優秀さを知って採用したい、あるいは、数年後のインド市場への参入を見越して、人材の確保、獲得に動かれる企業様も増えてきました。 インドの学生は、学外のハッカソンや企業のプロジェクトに積極的に参加し、自分で考え主体的に動ける方が多いです。実際に採用いただいた企業様からも、想像以上に優秀な人材に出会えたという声をいただいています。 ーサービスを利用すると、具体的にどのような流れで採用を進めていくのですか。 サービスのご利用が決まったら、まずは全体のスケジュールを弊社にて設計します。並行して、企業様と共に求人票に記載する内容を検討して、システムにアップしていきます。システムにアップされた情報はすぐに大学の就職課を通して学生に展開され、母集団形成のスタートとなります。 インドは各大学が独自の採用ルールを設けており、企業が個別にやりとりすると時間がかかってしまいます。Tech Japan Hubは全大学に対応した統一フォーマットを使用するので、契約から約1~2週間で母集団形成を始めることができます。 大学への告知が終わると、ヒアリングミーティングを開きます。企業様がインターンで期待していること、採用したい人数やほしい人物像などを深掘りして伺っていきます。それに基づき、面接やインターン実施をスケジューリング。企業様によっては、オンラインでのテストや会社説明会を設ける場合もあります。 その後、実際の選考が始まります。日本市場でのエンジニア採用とは異なり、1〜2週間で100名を超える学生からご応募いただくため、Tech Japan Hubのスクリーニング機能や、弊社に在籍するIIT卒業生の目線を通したスクリーニングにより、多数の応募者からマッチ度の高い応募者の選定をサポートしていきます。選定を終えたら、面談のアテンドからインターンシップのオファーに進んでいきます。そして、書類選考を通過した学生に対してインターンシップを実施し、本採用を出す流れです。インターンシップはオンライン、オフラインどちらも実施可能で、学生に日本にきてもらって実施している企業様もあります。 採用を出してから入社までは1年ほど期間があるので、その間の企業側と学生側との関係性の維持・向上もサポートします。インドと日本は時差と距離があり、日本の新卒と同じように対応していると学生側が不安になってしまうケースがあります。そのため、インターンを継続したり、月毎にミーティングを開いてお互いの状況を共有できるようにしたり、コミュニケーションツールを用意したりと、不安を解消したり、不安な気持ちになるのを未然に防いだりできるようサポートに努めています。アクティブな学生が多いので、学生側から企業にコンタクトしている例が多いですね。 また、インドは両親との関係が強いため、必要、状況に応じてば親御さま、学生、企業様、TechJapanの四社ミーティングを実施したり、日本への興味を促したり、日本の商習慣を知っていただくためにワークショップやオリエンテーションを開催したりいたします。採用後の言語面で不安がある企業様には、弊社提携のベンダーをご紹介して、日本語研修を実施いただくことも可能です。 IITの学生は、優秀な方であればあるほど世界中のさまざまな企業から引く手数多です。過度な締め付けや押しつけをすると窮屈さを感じてしまう場合もあるので、バランスをとりながら伴走していきます。 <会社規模、業種に関係なくオンボーディングを支援> ーどのような採用事例がありますか。 例えば、長崎県で建設業をされている中小企業様の事例です。特に日本での採用に困っている訳ではありませんでしたが、より優秀な人材をとサービスをご利用いただきました。 ただ、英語を話せるのは社長お一人で、海外人材の受け入れ経験はなし。インドの学生は先輩やシニアを頼る傾向にあるのですが、メンターとなるような先輩もおらず、IITの学生が入ってうまく機能するのか不安もありました。 その企業様では書類選考、面接で4人を選び、オンラインでインターンを実施。社長と常務が直接マネジメントに入りました。開始時はテキストベースでコミュニケーションを取られていました。業務に関してはお互いに翻訳ツールなどを用いて、コミュニケーションが取れていましたが、しばらくすると学生側から企業の方々ともっと交流したいという要望があったのです。 そこで企業様とも話し合い、週に1回、Face to Faceのオンラインミーティングを導入しました。表情が見えることで意思疎通できる部分もありますし、テキストでは聞きにくい込み入った質問をしたり、学生間でのコミュニケーションを促進したりできると考えました。 定期的にコミュニケーションする機会を作ったことで、より忌憚ない意見を言い合えるようになったり、学生ならではのやんちゃな部分も見えたりするようになって、信頼関係が深まっている様子がうかがえました。私もミーティングに同席させていただく中で、最初の頃は社長や常務が日本や長崎についての紹介などをされていましたが、だんだん学生たちが自ら業務の相談や細かい技術の話をするようになるのを目の当たりにしました。盛り上がって、ミーティング時間が延びることもありました(笑)。 企業様とは、インターンの段階から採用後のお話をさせていただき、来日まで、その先の活躍までをイメージいただけるように努めました。その結果、インターン終了後に、特にパフォーマンスを発揮された2名に採用のオファーをお出しいただきました。 代表や上層部の方が肩書きや立場に関係なく、垣根のないコミュニケーションをとってくださったことが良かったと感じています。インドの企業ではトップが学生とやりとりされることがほとんどないので、学生にも響いたのではないかと思います。言語の壁はありましたが、それ以上に自身で勉強し成長していくインド人材の良さを感じていただけました。インターンをしたからこそ、個人の特徴や能力が見えて良かったと言っていただいています。長崎県でインド高度人材を採用した企業は初めてだそうで、来年度の採用のお話も始めています。 ー求人から入社後のフォローアップまで担当される中で、新井さんが心がけていることはなんですか。 鮮度と頻度ですね。できる限り相談や問い合わせにはすぐに対応し、フォローできるようにしています。企業様に対してもそうですし、インドの方々は疑問を解決しないと不安になりやすい特徴もあるので、素早い対応とコミュニケーション回数の確保を心がけています。 採用の工程の全体像、ネクストアクションがわかりやすいように工夫もしていますね。企業様、学生双方の負担をなるべく軽くし、スムーズにいく形を考えています。 加えて、ミスコミュニケーションにならないように気をつけています。例えば、インド人学生の質問や要望が、日本企業の方からすると強く聞こえたり、わがままに感じられたりする場合があります。言語的な違いや文化的な背景の違いによるものです。そのため、質問は一度TechJapanで受け付けて、誤解されないよう咀嚼して企業様にお伝えしています。 違いがあるからこそ、お互いが歩み寄ることが大切です。日本人の良さがある一方で、競争社会で生きてきたアグレッシブさや行動力など、インド人だからこその良さもあります。彼女、彼らの持つその魅力は、日本の規律やルールで押し込めてしまうとうまく発揮されない場合があります。インド人の持つ良さを失わず、最低限のルールを守ってもらえるよう、調整していくことが重要だと考えています。 <コロナで窮地に…助けてくれたインドへの恩返し> ー採用担当者、インド人学生側、双方の立場で支援されているんですね。新井さんがこの業務に携わるようになった経緯を教えてください。 私はもともと展示会や国際会議の主催、企画運営を行うイベント会社で働いていました。1年がかりでやる国際的なイベントなども担当しやりがいを感じていましたが、リアルだけでなくオンラインのイベントにも知識を深めたいと思うようになり、Webマーケティングの会社に転職。さまざまな事業をやっている会社だったので、結局、街コンや英会話スクールのイベント事業などリアルなイベントを担当する機会が多かったですね。 そのうち、インドの優秀な人材を日本に紹介する新規事業を立ち上げることになり、その担当者に選ばれました。2018年の冬頃からインドのバンガロールに渡り、現地責任者になったのです。大学とのやりとりや学生のフォロー、日本企業のアテンドなど、今の仕事に近いことを現地で行っていました。 そんな時、新型コロナウイルスが流行し始めました。インドでは1日40万人がコロナに感染している状況で、ロックダウン、非常事態になりました。海外の駐在員は私が初めてだったので、会社には緊急時のノウハウがなく、自分で考え生きていかなければならない状態。食べ物なども買えなくなってきて、どう生活すればいいかわかりませんでした。そんな時、インド人の方々に助けてもらったのです。 当時の会社のインド人メンバーだけでなく、インドの学生や提携大学の人々も連絡をくれ、サポートしてくれました。隣人がご飯を作りに来てくれることもありました。街に日本人は自分だけだったので、顔を覚えてくれていて、心配して手助けしてくれたのです。すごくありがたかったです。インドの人々に恩返ししたいと感じました。 その後、なんとか帰国したのですが、新規部署への異動の打診をいただきました。自分としてはインドでやり残したことがあり、インドの事業に携わっていたい思いがありました。それでTechJapanに入ったのです。学生たちの支援をすることで、インドの方々に大変な時にサポートしてもらった恩返しができればと思っています。 <不安に寄り添い、挑戦をサポートする> ー最後に、今後の展望を教えてください。 日本企業の皆様に継続的に利用いただけるサービスにしていきたいです。インドの学生を採用いただいた社数が増えてきたら、企業同士や学生同士の横のつながりも作っていきたいですね。会社の規模や業種などでコミュニティを作って、イベントなどを開催しながら、インド人、TechJapanのファンを増やしていきたいです。 インド人の経験者採用を支援するTechJapanJobのサービスでは、登録いただいているインド高度人材の方々と定期的にカレー会を開催しています。こうした日本企業で働く先輩方のコミュニティとも連携して、インド人が日本企業で働きやすい環境を作っていきたいです。 インド人はジョブホッパーだというイメージをお持ちの方もいらっしゃいます。キャリアアップのための転職は避けられない一方で、採用時にしっかりお互いを知ってから入社し、フォローアップしていけば、ミスマッチによる離職は防げます。組織に定着するにはどうすればいいかも伴走しながら考え続けていきたいですね。 インド高度人材の採用を検討されている企業様は、言語やマネジメント、受け入れの準備など、不安だらけだと思います。TechJapanには、社内にIIT卒で日本企業で働いた経験を持つインド人エンジニアもいますので、さまざまな不安をお伝えいただき、解消していければと思います。 実際に、採用がきっかけになり社内をグローバル化しよう、英語を勉強しようという変化が出てきた企業様もいらっしゃいます。できない理由を考えるよりも、まず不自由や不都合さを楽しむ気持ちで、やってみて欲しいと思います。変化を楽しみながら、一緒にトライしていきたいですね。私たちのサービスは、今やっているものが全てではありません。今後も、企業様ごとにカスタマイズして、新しいサービスの形を生み出しながら伴走していきたいです。

【​TechJapanHub事例インタビュー/ugo株式会社様】オフラインインターンでコミュニケーションの不安を解消。グローバル化の第一歩を踏み出せた

インド工科大学(IIT)をはじめとするインドの優秀な学生の採用を支援するプラットフォームTechJapanHub。サービスの一環であるサマーインターンを通して選考し、採用を決めた企業様にインタビューさせていただきました。今回は、見回り業務や警備などさまざまな業務のDXを支援する、次世代アバターロボットの開発、提供を行うugo株式会社ロボット開発部でメンターを務めた横澤秀一さん、管理部で受け入れを担当した荒木祥子さんにお話を伺います。 ugo株式会社 ロボット開発部 ソフトウェアマネージャー 横澤秀一 管理部 荒木祥子        インターン受け入れ:6名 採用:3名 <外国人採用、新卒採用未経験からのチャレンジ> ーはじめに、TechJapanHubをご利用いただいた背景を教えてください。 横澤:弊社ではロボットのハードウェア及びソフトウェアの開発を全て自社で行っています。そのため、幅広い分野の知識・技術力を有するエンジニアを採用したいと考えていました。加えて、スタートアップでもあるため、主体的に行動して業務を進められる人材を求めていました。はじめは国内でエンジニアを募集していたのですが、なかなか優秀な方を見つけるのが難しく、海外からの採用に踏み切りました。 代表の松井がインドにインターンした経験があり、インドの技術力の高さに感銘を受けたことから、インド工科大学(IIT)からの採用を考えたそうです。松井が元々TechJapanさんと交流があったこともあり、サービスを利用することになりました。 ー外国人採用は初めてだと伺いました。 荒木:弊社は2018年に設立してから、ほぼ中途採用でメンバーを増やしてきました。日本の新卒の学生ですら採用したことがないのに、突然「インド人の新卒を雇います」と宣言され、かなりの衝撃を受けました。全てが未知でしたから。 ーそうですよね…。そこから、どのようにインターンを進めて行かれたのでしょうか。 荒木:開発の横澤と連携を取りながら、インターン生をサポートできるようプログラムを考えていきました。それまで社内ではあまり部署間の連携がなかったのですが、部署を越えて進めることができました。 具体的には、まず応募者の中から6名を選び、1ヶ月間オンラインでインターンを行いました。その中でより優秀だった方3名に実際に来日していただき、3週間、オフラインで一緒に仕事をしました。日本に来て就職することを前提にすると、オンラインだけでは距離感や空気感がわからないと思ったのです。日本に来て3週間住んでもらうことで、本人たちも本当にここで働きたいのか見てもらいたいと考えました。 横澤:技術面でも、実際にロボットを動かしてみないと、良いか悪いか判断できないところがあるんです。加えて、弊社ではメカ、電気、ソフトウェアとさまざまな分野のエンジニアが同じ空間に集まってロボットを作っています。ロボットを触りながらコミュニケーションを取る事を大切にしているので、彼らがその価値観にマッチするか確かめるために、オフラインインターンシップを導入しました。 <オフラインのインターンで、一緒に働くイメージが持てた> ー組織面でも技術面でも、より具体的にお互いを知るために、オフラインでもインターンを行われたのですね。具体的な内容と、どのような成果が出たのか教えてください。 横澤:まずオンラインのインターンでは、弊社のロボットが抱えている課題をいくつかピックアップして、それをインターンで取り組むテーマにしました。6名の学生さんたちにはチームを組んでもらい、チームとして取り組みたいテーマを選んで解決方法を考えてもらいました。進捗の共有やフィードバックなどのコミュニケーションは週一回のオンラインミーティングを開催して、その場で実施しました。      実際に取り組んでいただいて、個人差はあったものの、学生のスキルの高さに驚きました。中には最新のテクノロジーのベンチマークを行って、どれが課題に対して一番適しているか提案してくれた方もいて本当に学生さんなの?とびっくりしました。 オンラインのインターンで、特にスキルが飛び抜けていた3名に、オフラインのインターンのオファーを出しました。履歴書だけだと、例えばどのプログラミング言語が扱えるかはわかりますが、それがどのレベルなのかはわかりません。インターンを通して実際に彼らの課題に対するアプローチを見て、こんなに明確に違いが出るのかとハッとしました。 オフラインでは、ロボットを触りながら2つの課題に取り組んでもらいました。一つは、ロボットが自身に搭載されたカメラを用いて行う画像認識の精度向上です。弊社のロボットは点検・警備で施設を巡回する時に、エレベータに乗ってフロアを移動します。その時にエレベータのボタンを押下するので、ボタンの位置を把握するためにこの技術が応用されます。こちらは、世の中にあるAI技術を数種類調べて、速度と正確性を比較してもらい、どれを使うのが良いか技術的な見通しが立つところまで仕上げてくれました。 もう一つは、社内の新しいプロジェクトで使う、AMR(自律走行搬送ロボット)の自律走行アルゴリズム開発です。このテーマに取り組んだ学生たちは皆実際にロボットを動かしながら開発したことがなかったようですが、ゴールを設定するとロボットが動き出すところまで実装してもらうことができました。流石に短期間だったので、移動中に障害物を避けるなどの細かいところまではいきませんでしたが、まず動かすところまで開発を進めてくれたので、今後のプロジェクトを進める上でも非常に役立つものになったと感じています。 全体として、「ここまでは難しいよね」と考えて課題を用意していたのですが、それを上回って成果を出してくれたと感じています。 ーありがとうございます。オフラインでインターンに参加した3名の採用の決め手はなんでしたか。 横澤:技術面がすごく優秀であることと、仕事へのアプローチの仕方が素晴らしかったことです。我々の考えた課題に対して、主体的に仮説を立て、必要なものを調べて組み合わせて解決策を見つけていく力があると感じました。 加えて人間性ですね。実際に一緒に仕事をしてみると、3人ともフレンドリーで優しくて、日本語もすごいスピードで覚えてくれました。来日する前は正直、どうなるんだろうと感じていましたが、コミュニケーションの観点で「これなら一緒に仕事ができる」と十分感じられたことも大きかったです。 <「日本での暮らし」を描けるサポート> ー受け入れの中で、大変だった部分はありましたか。 荒木:インドの方は、日本とは全く違う宗教や文化をお持ちなので、どこまで配慮が必要なのか見極めるのが難しく、準備期間が大変でしたね。例えば、宗教的にベジタリアンの方が多いというので、会社の近くでそういった料理が食べられるお店を探したり。3週間日本で暮らすとなると、学生さんなので金銭的に毎日外食も厳しいかもしれないと考え、キッチン用品を用意したり、インドの食材が手に入るスーパーをピックアップしてみたりしました。彼らが本来持っている技術力や、ロボットが好きという気持ちを最大限発揮できる環境作りをすることを重要視して準備しました。 ーそこまで準備されていたのですね。実際に来日されてからは、何か気をつけたことはありますか。 荒木:頻繁に食事に誘ったり、お休みの日には私がディズニーシーに、横澤は浅草や渋谷に連れていったりしました。インドにはディズニーシーのようなテーマパークはないそうで、みんな終始楽しそうにはしゃいでいました。国は違えど、やっぱり20歳くらいの子なんだなと感じられて、親近感が湧きました。心の距離が近づいたと思います。 横澤:私も渋谷に連れていったとき、ポケモンセンターやNintendo TOKYOに盛り上がっている姿を見て親近感が湧きました(笑)。やっぱり好きなんだなと。 ー可愛らしいですね(笑)。仕事以外の場所でもコミュニケーションの機会を設けられていたんですね。一緒に仕事をする中ではいかがでしたか。 横澤:技術的なコミュニケーションが難しいと感じる場面もありました。日本の学生さんだと、自分も学生だったのでどのくらいのスキルセットを持っているのか大体わかります。しかしその情報が全くないので、どこまで踏み込んで説明するべきなのか最初のうちは悩みました。実際やってみると、日本の学生さんよりいろいろなことを知っているなという印象を受けましたね。 それから、技術的な細かいニュアンスを口頭で伝えるのは難しかったです。我々の言語スキルの問題ではあるのですが、積極的に質問してくれているのにその場でレスポンスを返してあげられないのは、自分としては残念でした。 彼らの方が、言語が違う中でのコミュニケーションに慣れていました。図にまとめて説明したり、プロジェクトの方針と彼らのやっている事がずれないようにマメに情報共有してくれたりしてくれて、我々の方が感心しました。日本人同士だと「わかっているだろう」と確認しないことも、コミュニケーションミスを極力回避するために言語化して細かくコミュニケーションをとってくれたので、私たちの学びにもなりました。 <海外進出を見据え、グローバル化の第一歩に> ーインド高度人材を採用することで、会社にはどのような変化があるでしょうか。今後の展望を教えてください。 荒木:初めて海外の方を採用するということで、彼らを受け入れて組織を強くしたいと考えています。会社としても海外進出を考えているので、社全体としてグローバルな考え方をしていけるように研修なども取り入れていきたいですね。 彼らが2024年10月に来日して社員として働くようになると、インターンの際とはまた違ったサポートが必要になると思います。実際に働かないとわからないこともあるので、適宜フォローしていければと思っています。 海外人材の採用はこれで最後ではなく、これからもインドをはじめ、他の国の方々にもどんどん入ってきていただける組織にしたいと考えています。これを第一歩として、採用を進めていきたいです。 横澤:短期的な視点では、まず技術力の底上げができると思います。例えば何か調べる時にも、日本語と英語とでは情報量が全く違います。新しい技術を積極的にキャッチアップしている彼らが入ってくれることで、社内全体の底上げができればと考えています。 長期的には、グローバル化を進めていきたいですね。彼らは英語でのコミュニケーションに長けていますし、異なる文化圏の人と接することにも慣れています。彼らにリーダーシップを発揮してもらい、海外での製造や販売も視野に成長していければと考えています。

【​TechJapanHub事例インタビュー/株式会社batton様】​足りないスキルも学習し、実践レベルに。世界で大きな仕事をする仲間が見つかった

​​インド工科大学(IIT)をはじめとするインドの優秀な学生の採用を支援するプラットフォームTechJapanHub。サービスの一環であるサマーインターンを通して選考し、採用を決めた企業様にインタビューさせていただきました。​ 今回は、AI搭載の業務効率化システムを開発・販売する株式会社batton取締役CTO、秋山真咲さんにお話を伺います。 ​​株式会社batton​ 取締役CTO 秋山真咲​  ​​インターン受け入れ:3名​  採用:2名​  ​​<即戦力のスキルと思考力を持つ人材を求めていた​ > ​​ーはじめに、TechJapanHubをご利用いただいた背景を教えてください。​  ​​これまで弊社のエンジニアは、中途採用しか行っておらず、wantedly経由やリファラル採用がほとんどでした。契約形態も業務委託だったので、新卒、中途にかかわらず正規雇用できるエンジニアを求めていました。​  ​​しかし、日本は生産労働人口が減少し、エンジニア不足が深刻です。弊社は創業5年目で、まだまだ認知度の低い会社。優秀な若手エンジニアを正規雇用するには、国内だけでは無理があると考えていました。​  ​​TechJapanさんは、代表の川人から紹介を受けて知りました。インドは総人口が多くポテンシャルのある国で、大学の卒業生は優秀なイメージ。興味を持ちましたし、良い人財と出会えるのではないかという期待感がありましたね。​  ​​ー応募者には何を求めていましたか。​  ​​学生なので実務経験はありませんから、そこを求めるのは酷だなと思っていました。でも、プログラミングのスキルは求めました。弊社は創業間も無く、エンジニアは日々のチケットを消化していくことで忙しい状態。スキルセットがない人が入ってきても教えていく余力がないのがわかっていたからです。まず手を動かせること。実装スピードが速いこと、新たな技術習得に貪欲な姿勢を求めました。​  ​​加えて、プロセスを組み立てられる人が欲しいと思っていました。なので、サマーインターンの中ではどういう技術スタックがいいのかの選別をしてもらっています。要望に対してどの技術を使えばいいのか考えることは、限られた時間での取捨選択や思想が必要になるからです。今思うと、要望は高かったですね(笑)。​  ​​<足りないスキルセットも、短期間で実践レベルに​ > ​​ー観点を明確に決められていたのですね。どんなサマーインターンを行い、どんな成果がありましたか。 ​​弊社のサービスである「FAXバスターズ」のプロダクトサービスを補完するものを作ってもらいました。​  ​​日本では受発注の際、デジタルでやりとりしている事業者は全体の14.2%で、それ以外はアナログ。そのうち4割はファックスでやりとりしているという現状があります。スキャンして読み取ろうにも、発注書の様式が各社でバラバラ。人手を介してバラバラなフォーマットに記載しているデータをバックエンドシステムに手入力しなければならない状況でした。そこで、AIを使ってバラバラな書面のフォーマットを自動統一し、データ化できるようにしたのがFAXバスターズです。​  ​​データ化できるようになったものの、後から注文データが間違っていたことがわかり発注主より変更要望があった場合など、一度入力したものを人の記憶をもとに自然言語で簡単に検索したいというニーズがありました。そこで、インターンのみなさんには必要なデータを自然言語で検索し、追記できるシステムを作ってもらうことにしたのです。​  ​​はじめに作って欲しいものをリクエストして、質疑応答の時間を設け、3名のインターン生にプレゼンテーションしてもらいました。どんなものを作ろうとしているのか、どんな理由でどの技術スタックを採用しようとしているのか。実装する前に考え、役割を決めて発表してもらいました。その内容をブラッシュアップしてこれで行こうと決め、そこからはデイリースクラムを組んで日々の業務を進めていきましたね。​  ​​最終的に、FAXバスターズで取り込んだPDFをCSV ファイルにし、そのテキストデータを自然言語で検索できるシステムができました。検索したものをフォルダ化するところまで2ヶ月で作ってくれましたね。​  ​​最後は、全社員の前で成果を発表してもらいました。市販化には至っていませんが、インターンシップのチャレンジ課題としては十分に合格を出せる成果だと考えています。​  ​​ーインドの学生たちと接して、どう感じましたか。​  ​​真面目な日本人と比べてどんな仕事をするか、はじめは半信半疑でした。でも働いてみると彼らも真面目で、手を抜いたりすることなく真剣に取り組んでくれましたね。​  ​​そして、今自分が持ち合わせていないスキルセットに対して、実践で使えるよう学習していく能力には目を見張るものがありました。フロントエンドを中心にやってくれていた学生は、実はバックエンドが得意だったそうなんです。しかも、コロナが流行って家にいなければならない時間が増えたから、趣味でプログラミングを始めたと聞いて。それでこのレベルになるのかとびっくりしました。​  ​​また、彼らは自然言語を解釈するプログラムなんて書いたことがなかったんですよ。技術に対する理解力がすごいですし、実装スピードが速いですね。リクエストしたら、翌日「作ってみました」とレビューが入っているような状態でした。エンジニアとして成功したいという思いが強く、そのために努力を惜しまない姿勢が見えました。​  ​​自分の市場価値が上がることに関心があるので、それを満たすような仕事の渡し方、取り組みをしていかなければならないとも感じましたね。お互いなあなあの意識にならないので、双方にとって刺激的な関係性を持ち続けられるのではないかと思っています。​  ​​<言語よりも、萎縮しないコミュニケーションが肝​ > ー採用の決め手を教えてください。​  ​​3名中3名採用できなかったのは予算の関係もありますが、プロジェクトに対する貢献度合いや実装スキルで2名を選ばせていただきました。2名とも、日本の学生だったら採用できないレベルの人材だと感じています。​  ​​インターンをすることで、その人が持ち合わせているスキルセットを、スナップショットではなくある期間の中で見続けることができました。ミスマッチを防ぐためにも、お互いのために良かったと思います。​  ​​ー受け入れの中では、どのようにコミュニケーションを取りましたか。苦労したことや気をつけていたことを教えてください。​  ​​フルリモートで、ほとんどスラックでやりとりしていました。テキストコミュニケーションなので、質問に対してなるべく速やかに答えること、誰に聞けば良いのか明確にすることを心がけていました。​  ​​また、萎縮させないようコミュニケーションには気を配りましたね。私たちは彼らを「さん」付けで呼びますが、彼らは「さま」付けで呼んでいました。何か見落としがあると、「大変申し訳ありません、このようなことが二度とないようにします」とメッセージが来ることも。そこまで思っていないんですけどね。上下関係を大事にするんだろうなと感じました。だからこそ、彼らが「怒られている」と感じることなく、自分が思う方向に進めていけるよう気をつけました。必ず「いいね」から話をはじめ、「ダメ」とは言わなかったですね。​  ​​始まる前は、言語面を一番気にしていました。実際、インドの方特有のイントネーションで、英語が堪能な者でも聞き取るのに苦労する部分はありました。しかし幸いなことに外国籍の社員がいたので、部署の垣根を越えて参加してもらい、意思疎通できる環境を作ることができました。チャットは、翻訳ツールを使えば問題ありませんでしたね。正直、もっともっと苦労するかなと思っていましたが、やってみるとなんとかなりました。​  ​​ー全体を通して、TechJapanのサポートはいかがでしたか。​  ​​結果や成果において、期待を上回りました。応募には5000以上の閲覧があり母集団の形成ができ、173名に応募いただきました。候補者を絞る上でも情報をいただきましたし、環境を用意して終わりではなく、本当に伴走いただいたのが良かったですね。​  ​​<世界中の仲間と大きな仕事をする第一歩​ > ​​ーインド高度人材を採用することで、会社にはどのような変化があるでしょうか。今後の展望を教えてください。​  ​​『小さな組織、大きな仕事』という本があります。社員が2つの大陸と8つの都市に散らばって、ほとんど会わなくてもうまくやっている、ある企業を描いたノンフィクションです。エンジニアには愛読者が多いと思いますが、私もこの本に感銘を受けた一人。世界のエンジニアの仲間を集めて、大きな仕事を成し遂げたいと考えています。今回は、その第一歩です。インドの若く優秀なエンジニアと、大きな仕事をしていきたいと考えています。​  ​​これをきっかけに、彼らの後輩にも日本にはこんなベンチャーがあるよと伝わり、興味を持ってもらうきっかけになると良いですね。毎年今回のような取り組みを進めていければ、今回オファーを受託してくれた二人がメンターや指導者になるなど、良いサイクルが回ると思います。​  ​​また、彼らの採用が弊社の新卒生にとっても良い刺激になったと思います。最後は全社員の前で発表したので、こんな短期間でこんな成果物を出せるというのは、エンジニアでなくても衝撃を受けたはずです。同世代、下の世代でこんなにすごい人がいるんだと。私自身も、良い意味で危機感を覚えました。それを含め、良い取り組みだったと感じています。​ 

【TechJapanHab事例インタビュー / 株式会社LTU様】 外国人採用のイメージが変わった。自ら学び成長する人材との出会い

インド工科大学(IIT)をはじめとするインドの優秀な学生の採用を支援するプラットフォームTechJapanHub。サービスの一環であるサマーインターンを通して選考し、採用を決めた企業様にインタビューさせていただきました。​ 今回は、資材販売や工事力の提供、ITによる業務支援、不動産事業など「住」領域に多事業を展開するLTUホールディングス代表の原田岳さんにお話を伺います。 ​ 株式会社LTU / スタンダードフォース株式会社 代表取締役社長 原田 岳  ​​インターン受け入れ:4名​  採用:2名​  <内製化を見据え、高い人材を求めていた > ​​ーはじめに、TechJapanHubをご利用いただいた背景を教えてください。​  ​​営業コンサルティング会社から紹介を受けて利用しました。新卒採用に困っているわけではありませんでしたが、高度人材を採用できるというところに興味を持ちました。インド工科大学(IIT)の存在やインド高度人材という言葉は、実際にTechJapanの方と話して初めて知りました。ただ、IITの学生は数学の基礎学力があった上でプログラミングを学んでいると聞き、良い人材と巡り合えるのではないかと思いました。​  ​​これまでは、ユーザーインターフェースや業務フローの設計などは自社で対応していましたが、商材設計やプログラミングは外注していたのです。ここを内製化できれば、確実に開発速度が上がります。内製化はまだ先だと考えていましたが、良い人材が入れば予定よりも早く進められるかもしれないと考えました。​  ​​<自分で学び成長する。意欲とスピード感が桁違い​ > ​​ー​​インターンをどのような流れで進めましたか。​  ​​まず会社概要の説明書をTechJapanと一緒に作り、大学側に提出しました。その後、オンラインで会社説明会を実施。最大170名が参加してくれ、実際に応募も100名以上ありました。びっくりしましたね。ただ、履歴書は見たことのない形式で、経歴を見ても何を評価すれば良いのかわからない状態。TechJapanに一緒に確認してもらいながら、12名まで絞り込みました。​  ​​その後オンライン面接をして、最終的に4名をインターンに迎えました。みなさん様々な切り口で自己PRをしてくれる中、主体的にプロジェクトに取り組んだ経験を重視しました。TechJapanHubのサービスで、実際にどんなコードを書いてプログラムを作ったか確認できたので、使っている言語がなるべく近い人を選びました。​  ​​ーどんなサマーインターンを行い、どんな成果がありましたか。​  ​​インターンでは、弊社で作っている販売管理システムのダッシュボードを開発してもらいました。インターン用にサーバーを用意し、開発している大規模なメインシステムのデータベースをインストール。自由に使ってもらえるように準備しました。​  ​​最初は10日ほど、どんな分析資料があるか確認し、勉強してもらう時間を設けました。デイリーレポートを書いてもらって進捗を確認していましたが、みなさん細かく調べていましたね。一般的な経営指標は網羅されていましたし、「重回帰分析を使えば自動で売上目標を立てられるんじゃないか」など提案もしてもらいました。実際に重回帰分析で目標を立てると、売上が下がったら目標値も下がってしまうので駄目なのですが、実務に活かせるようなアイデアまで出してもらいましたね。​  ​​その後、完全に同じ開発言語を使っている人はいなかったので、弊社で使っている開発言語を勉強してもらいました。すると向こうから「こういう教材を与えてください」と提案があったので、その教材を提供して勉強してもらいました。コード解析も自分達でやってくれましたし、扱ったことのない言語でも、自分たちで学んでできるようになっていましたね。​  ​​最終的に2ヶ月半で、目標としていたサーバーへの組み込みは間に合わなかったのですが、ダッシュボードを表示するところまで完成させてくれました。​  ​​ーインドの学生たちと接して、どう感じましたか。​  ​​自分で勉強して作ろうという意欲とスピード感が、期待をはるかに上回っていましたね。うちに入ってくる新卒は、日本人でも比較的自分で考えて行動できるタイプの人が多いです。しかし、インドのみなさんは桁違いでした。一つの開発言語を5日くらいで学習していましたから。数学の基礎がしっかりしているので分析の話もすぐに理解してくれましたし、地頭の良さを感じました。​  ​​<インターンだからこその気づきが採用の決め手に​ > ​​ー採用の決め手を教えてください。​  ​​4名中、2名を採用させていただきました。能力はみなさん高かったですが、実際に一緒に働いてみて柔軟性の高い人を選びました。彼らはいろいろな提案をしてきてくれましたが、私たちにはお客様がいるので、提案通り変えられない部分もあります。それを理解して寄り添ってくれるか、ひたすら提案を繰り返してくるかの違いがあり、自己主張はしつつもバランスが取れる人を採用しました。2ヶ月半、毎日いろいろな質疑応答を繰り返し、実際にプログラムを作ってもらったので、より個人の特徴や能力が見えました。書類選考ではさっぱり分からなかったと思います。こちらも勉強になりました。​  ​​ー受け入れの中では、どのようにコミュニケーションを取りましたか。苦労した部分や気づきがあれば教えてください。​  ​​フルリモートだったので、日頃はメールやチャットでやりとりしていました。週に1度、1時間ほど対面のミーティングも設けました。最初の頃はアイスブレイクに日本の話をしていましたが、途中からは開発の勉強の話や実務の話になって、1時間が1時間半、2時間になることもしょっちゅうでしたね(笑)。​  ​​難しかったのは、会話でのコミュニケーションです。私はアメリカへの留学経験がありましたが、ブランクがあるのと、インド訛りの英語の聞き取りにくさとで、何を言っているか分からない部分がありました。しかし、重要な契約などの話の際はTechJapanの方が通訳で入ってくれたので、問題はなかったです。ビデオ通話をするとき、リアルタイムで英語を英語で書き起こすと理解しやすいこともわかってきたので、ツールも活用しながら徐々に慣れていきました。​  ​​あとは実務をする際に、使っている開発言語が違うことはわかっていたのですが、データベースやファイルのバージョン管理のやり方などまで違っていたことに驚きました。世界と日本とで常識が違う部分があるのです。自分たちのやり方がオーソドックスだと思っていましたが、世界からみると日本が特殊で。そういう面もインターンしてみて気がつきました。​  ​​ーTechJapanのサポートはいかがでしたか。​  ​​インドの大学は採用プロセスが複雑ですが、TechJapanさんの方で、すべきことが構築されてるのでやりやすかったですね。ミーティングにも頻繁に参加してもらったので、こんなに来てもらって大丈夫なのかと思うほど(笑)。親切に対応していただき、コスパが良いと感じました。​  ​​<内製化、世界標準化へ。新たな機会が生まれるきっかけに​ > ​​ーインド高度人材を採用することで、会社にはどのような変化があるでしょうか。今後の展望を教えてください。​  ​​商品設計やプログラミングの内製化はまだまだ先だと思っていましたが、それが一気に近づいてきたと感じています。加えて、彼らを雇用してみて世界標準のシステムがわかってきたので、今作っているものとは別のシステム開発では、彼らの推奨するもので作っていきたいと考えています。​  ​​ー来年の2024年には、インドから来日して働かれることになるんですよね。​  ​​そうですね。今はアルバイトとして必要なものを開発してもらっていますが、来日したら新しい企画のシステム開発にも着手したいと考えています。​  ​​私たちは自社で住宅を作れるので、彼らを受け入れるための宿舎も建設中。他社からも外国人財の宿舎にと引き合いが多い、完全木構造のユニットハウスを作っています。彼らの来日を楽しみにしている社員が多いですね。私も今度、初めてインドに行くんですよ。採用がなければ行く機会もなかったと思うので、いろいろな面で新しい機会になると思っています。​  ​​実は長崎県でインド高度人材を採用した企業は初めてだったそうで、長崎県知事が知事会で話題にしてくれたそうです。社外でも注目されているのを感じています。​  ​​実際にインターンをしてみて、インド高度人材は「こんなに自分で勉強するんだ」と驚き、外国人採用のイメージが変わりました。自分で学び、どんどん成長していってくれる人材は会社にとって必要です。うまくいきそうなら、次のインターンシップもTechJapanさんと一緒に進めたいと考えています。今度は社内に先輩がいますから、進めやすいと思いますね。​ 

2025年卒のためのサマーインターンシップ募集を開始しています!

    2023年10月15日からTech Japanの採用プラットフォーム:Tech Japan Hubを通じたインド工科大学*(IIT)等からのサマーインターンシッププログラムを日本企業に提供開始しています。    現在、Tech Japan Hubは、ローンチから2年でIIT人材7000名超分のデータを保有し、提携16大学(うちIIT校)の就職学年学生3人に1人以上が利用するプラットフォームとなりました。高度デジタル人材獲得を要望される日本企業に向けて、今年度もこのデータベースを活用したサマーインターンシッププログラムの提供を開始いたします。       *Tech Japan Hubの利用・インターンシップの設計サポート・募集は無料です。*別途、インターンシップ採用の際に成功報酬が発生します。     【Tech Japan Hubを活用したサマーインターンシップとは】従来、IITを初めとするインドの最高峰理系大学からの採用には①大学側が課す複雑且つ日本企業にとって不利とも言える採用規則の遵守対応の困難さ、②日本企業にとっての候補者情報管理の煩雑さ、及び①②を背景とした③学生の入社後定着率の悪さ、が課題となっていました。    企業がIITから学生の採用を行う場合、Day1(デイワン)と呼ばれる毎年12月1日からの就職活動解禁期間内の明確に指定された日時にキャンパスを往訪し、数時間の面接で当日中に企業学生とも内定及び受諾の意思決定をする必要があります。一旦受託の意志を示した学生は以降の就職活動に参加できなくなるため、どんなに企業が求めている人材でプレゼンテーションの準備をしていったとしても、自社の面接日時以前に他社からの内定承諾を決定した学生とは会うこともできません。加えて、企業はキャンパスごとに異なる指定フォーマットを利用して候補学生の情報を収集、管理することが求められ、その上短時間での意思決定は短期間での離職の原因にもなっていました。    Tech Japanは、上記の課題を踏まえ、本質的なデジタル新卒人材の企業・事業への寄与には、①面接前にお互いを理解する一定期間②企業内意思決定をスムーズに行うための情報管理システムが必要だと認識し、Tech Japan Hubを活用したサマーインターンシッププログラムの提供を2023年より開始しています。     日本企業はこのプラットフォームから簡単に、ワンストップで採用直結型トライアル募集の大学への申込み、内容の掲示や選考、そして就職活動期間に先んじた接点としてのインターンシップを行うことができます。Tech Japan Hubを通じて募集できる高度テクノロジー人材学生は、世界のIT企業を牽引する人材を輩出しているIIT等出身であることからも伺えるように、即戦力として企業のデジタル事業に貢献することが期待できるのみならず、企業が提示する内定受諾率が高く(2022年度で92.3%)、採用直結型トライアル期間に相互理解が進んでいるため入社後短期間での退職も少なくなることが想定されます。     【今年度実績】2024年度IIT新卒学生によるTech Japan Hubを通じた日本企業へのサマーインターンシップ応募は、1472名(のべ4418名)、同学年全体約1.6万人のうち1/10にあたる学生がTech Japan Hubを通じ日本企業でのインターンシップに応募しています。なお、インターンシップ期間を経た企業からの内定提示率は40%、受諾率は91%と国内理系人材内定提示・受託率と比較しても非常に高くなっています。    *実施インターンシップ内容の例ウェブ開発、AI、データサイエンスなどのバックグラウンドを持つ学生たちが、以下のようなトライアル事例に携わっています。 ①金融系ITベンチャーA社正社員と協働で、スマートフォンアプリ、フロントエンド及びバックエンドの開発 ②ロボットメーカーB社プロジェクトチームを結成し、プログラミングスキルを活かしながら画像処理、データに関する課題処理、信号処理、組込み制御、ロボット制御、フロントエンド開発、AIの処理を行う ③機械商社C社-UI/UX及びバックエンドの技術仕様を作成し、実装-大規模データ処理のためのデータベースを用いたアーキテクチャの開発、構築、テスト、保守-新しいサービスの設計・開発と、既存のWeb Servicesとの統合-既存モデルの拡張・充実と異なるAI技術との連携によるImageやVideoのRust検出 ④建設業D社業界構造と事業についてインプットののち、ステークホルダーにヒアリングしながらWebサービスのUI/UX改善やシステムの開発に従事     【2024年度サマーインターンシップ実施企業の声】 株式会社batton様https://batton.co.jp/AIによる業務自動化を行うRPAツールの開発、販売 取締役CTO 秋山真咲 様 インターン受け入れ:3名採用:2名     インターンシップでは、弊社のサービスである「FAXバスターズ」のプロダクトサービスを補完するものを作ってもらい、最終的に、Driveに取り込んだPDFのデータの文書をベクトル化し、自然言語で対象データを検索ならびにフォルダ化するところまで2カ月で作ってくれました。市販化には至っていませんが、インターンシップのチャレンジ課題としては十分に合格を出せる成果だと考えています。 プロジェクトに対する貢献度合いや実装スキルで2名を選ばせていただきました。2名とも、日本の学生だったら採用できないレベルの人材だと感じています。 インターンをすることで、学生が持ち合わせているスキルセットを、スナップショットではなく一定期間の間見続けることができました。ミスマッチを防ぐためにも、お互いのためにも良かったと思います今回の採用は、弊社の他の新卒入社生にとっても良い刺激になったと思います。インターン期間の終盤、インターン生に全社員の前で成果を発表してもらいました。こんな短期間に、このような成果物を出せることに、エンジニアでなくても衝撃を受けたはずです。同世代、下の世代でこんなにすごい人がいるんだと。私自身も、良い意味で危機感を覚えました。全体を通して、良い取り組みだったと感じています。

【イベントレポート】スタートアップによるインド拠点開設~インド市場開拓と世界最高峰テクノロジーとエンジニアへのアプローチ~

メガベンチャーやスタートアップによるインド拠点開設が進んでいます。TechJapanでは、日本企業のインド進出を支えるベンチャーキャピタル(Venture Capital、以下VC)2社と共催で、「スタートアップによるインド拠点開設」をテーマにイベントを開催しました。第1部では、インド進出すべき理由についてVC2社とディスカッション。第2部では、実際にインド開発拠点を行っている株式会社メルカリ執行役員 Group CTO兼 取締役 Managing Director of Mercari Indiaの若狭建氏、株式会社マネーフォワード取締役グループ執行役員CTOの中出匠哉氏に、立ち上げ背景や具体的なアプローチについて伺いました。その内容をレポートします。 【第1部】VCから見たインド市場の魅力とは? <登壇者> 相良 俊輔 氏/Genesia Ventures Country Director of India 大学在学中より、データの収集、分析、活用のための基盤システムをクラウドで提供する米Treasure Dataの日本法人に参画。インサイドセールス部門の立ち上げ・運営を経て、製造、流通、メディアなどエンタープライズ向けの直販営業及び既存顧客へのアップセル業務に従事。2019年2月よりジェネシア・ベンチャーズに参画。2023年7月にはインド・バンガロールへ新規投資拠点の立ち上げのために赴任し、インド現地のスタートアップへの投資活動を開始。 伊藤 毅 氏/Beyond Next Ventures CEO 2003 年 4 月にジャフコグループに入社。Spiberやサイバーダインをはじめとする多数の大学発技術シーズの事業化支援・投資活動をリード。2014年8月、研究成果の商業化によりアカデミアに資金が循環する社会の実現のため、当社を創業。創業初期からの資金提供に加え、成長を底上げするエコシステムの構築に従事。出資先の複数の社外取締役および名古屋大学客員准教授・広島大学客員教授を兼務。内閣府・各省庁のスタートアップ関連委員メンバーや審査員等を歴任。2019年からインドスタートアップへの投資活動をスタート。 <モデレーター> 西山 直隆 氏/Tech Japan CEO デロイトトーマツベンチャーサポートでアジア地域統括としてインドチームを立ち上げ、多くの日印ビジネス連携を創出。2019年にTechJapanを創業。インド工科大学と連携して、高度インド人材のデータベースを構築。成長スタートアップから大手企業にいたるまで、幅広く日本企業のグローバル組織構築およびDX人材獲得を支援。元米国公認会計士。 西山:日本のスタートアップがインドを活用すべき理由について、お二人のご意見を聞かせてください。まず伊藤さん、いかがですか? 伊藤:大きく2つあると考えています。1つは人材です。IT関連やソフトウェア開発をしている企業さんなら共通認識だと思いますが、インドには優秀なエンジニア人材がふんだんにいます。開発拠点を置く日本企業も増えてきていますね。エンジニア人材に加えて、優秀なマネジメント人材とも出会いやすいと感じています。英語が扱える上、スタートアップ経験者が多く、日本人よりゼロイチに適している人が多い印象ですね。私たちの会社で支援している企業でも、インドからベンチャー立ち上げ経験のある現地CEOを採用しました。 もう1つは事業機会です。インドは国も市場も成長しています。インドにないものを日本が持っている場合もあるので、積極的に進出してすべきだと考えています。 西山:支援先企業でインドのマネジメント人材を採用されたということですが、どんな方をどうやって見つけて採用されたのですか? 伊藤:シリアルアントレプレナーで、VCから資金調達を経験している方でした。残念ながら事業がうまくいかず売却するタイミングだったそうで、私たちがビジネスSNSのLinked inに出した求人にエントリーしてきてくださいました。前の会社でやろうとしていたことができなかった経験もあって、スタートアップの社長はお休みして、キャリアチェンジをされたのかなという印象です。 日本ではあまり見つからない人材だと思いますね。起業経験者が採用できるという意味でも魅力的な市場だと思います。 西山:ありがとうございます。相良さんはいかがですか。 相良:私はあえて、これはインドに向かないという活用法をお伝えしたいと思います。テックスタートアップに焦点を絞ってお話しすると、オフショア拠点の開設はあまり推奨していません。どこか他の地域で定義された開発要件に従って決められた納期と工数で着実に進めるという、いわゆるオフショア開発の拠点としては、インド以外に例えばベトナムなどの良い候補があるので。 インドの優秀なソフトウェアエンジニアは、言われたことを淡々とこなすよりも、トライアンドエラーを繰り返し、推進力を持ちリードしながら進んでいくカルチャーがあります。そのため、別の地域のリーダーが遠隔でインド人材を束ねてマネジメントするオフショア的な活用法を、リソースが限定的な、あるいは作って捨ててを繰り返すことを本分とするスタートアップが採用してしまうと、暗黙知の言語化や資料化を含めて管理コストばかりがかさんでしまい、本来の目的を果たせない可能性が高いです。 事業がグローバルな性質を帯びているかどうかを自問し、Yesであれば開発組織のリーダーをインドに置いて、テクノロジーのいろはは全て任せるくらいの割り切りと胆力でやるべきでしょう。グローバルビジネスで勝ち切るには、インド人材のコスト競争力を活かさない手はないですから。Noであれば、日本国内もしくは東南アジアのオフショアを絡めて開発体制を作る方が合理的な選択になります。 インドは、マネジメントのできるミドル層も人材が厚いので、本気でグローバルビジネスにチャレンジするのであればインドで体制を作るのが良いと考えます。 西山:これからインドに進出しようとするとき、VCはどんなサポートをしてくれるのでしょうか? 伊藤:現地の接点づくりをサポートします。現在も、支援企業に入って採用を直接サポートしていますし、インド国内での販売パートナーを紹介し、話を進めてもらっている企業もありますね。公的な機関や大学をつないで、拠点立ち上げの足がかりも用意しています。 相良:日本企業のインド開発拠点の設立は、いまメガベンチャーが始めているタイミングで、まだまだ黎明期だと思っています。その意味で、資本関係などは一旦横に置いて、「グローバルビジネスをするのであればテックセンターはインドに。さもなくばスタート地点にも立てない」という適切な認知を日本にも届ける草の根活動はしていきたいです。逆にそうでない場合には、無理に拠点開設を推奨しない選択肢も合わせて提示する冷静さを持っておきたいと考えます。 【第2部】メガベンチャーによるインド拠点開設 …

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EOR(代替雇用)サービス開始

   弊社は、この度、日本企業にインド工科大学(IIT)人材を提供するための新たな手段として、インド・ベンガルールを拠点に海外雇用を代理するEORサービスを提供開始いたします。上記によって、日本企業は労務・税制面などのオペレーションを弊社に委任しながら、テクノロジー人材を来日させなくともインド在住のままで獲得・活用することが可能になります。         *EORとは EORは、Employer Of Recordの略称で、企業の海外雇用を代理するサービスです。海外で従業員を雇用する際に、現地法人を設立することなくTech Japanが代替雇用を行い、企業で人材が働けるように環境を整えます。企業は、弊社とコンサルティング契約を締結し、労務や税制などは弊社側が、業務指示・人事評価をは企業が行います。     *インド工科大学とは インド工科大学は、IITと称される世界最高峰の理系学生を育成するために1951年にインド政府によって設立された大学で、現在は23校までキャンパスを拡大させ、卒業生はシリコンバレーやGAFAのCTOなど世界のIT業界を牽引する集団となっています。     【Tech JapanのEORの特徴】 弊社は日本の深刻なエンジニア&グローバル人材の枯渇を認識し、IIT人材を日本に提供する事業を運営してまいりました。インドは世界最大の高度デジタル人材輩出国であり、インド人エンジニアの採用を開始・加速させている日本企業は増加していますが、その中でエンジニア側からは「来日して生活を開始することのハードル」、企業側からは「受け入れ体制構築の負担」の声があがっています。今回弊社では、そのような課題を解決しながら、企業の事業成長というニーズに応える新たな方法として、Tech JapanEOR事業を開始いたします。弊社ならではの特徴として、以下の2点があげられます。     ①理系人材、その中でもIIT人材を中心とした人材データベースを活用できる 現在、弊社が大学側と提携・連携して開発した採用プラットフォーム「Tech Japan Hub」には、ローンチ2年未満で7000人以上のIIT学生が登録しており、提供校の就職学年学生3人に1人以上に利用されるまでにいたっています。 Tech Japan EORは上記Tech Japan Hub 及び日本国内で行っているエージェント事業Tech Japan Jobに登録されている一万数千人以上のインドデジタル人材データベースを活用して実施することができますので、質・量・スピードを重要視した開発が可能です。     ②ハッカソン・採用などの出口にも一気通貫で繋げられる Tech Japan Hubを通じて、EORを入り口に、ハッカソン(期間を区切った新規事業のプロトタイプ作り)やHub(採用)の実現も可能です。 Tech Japanが提供するハッカソンサービスは、社内のデータを用意せずとも外部でオープンになっているデータを活用した設計にできることがメリットで、企業の新規事業の成功に貢献します。 なお、採用に関しては、EOR実施を通じて相互理解が進んだ人材を採用していただくためのスキームも整えています。相互理解が進んだ状況での採用は、企業が提示する内々定の受諾率が高く、入社後短期間での退職も少なくなることが実証されています。     ③日本語対応可能 Tech Japan EORでは、日本語堪能なバイリンガル人材が企業とEORメンバーのブリッジを務めますので、クライアント企業は日本語でコミュニケーション・EORを実施いただくことが可能です。

インド人エンジニア採用でどう変わった?DG TAKANO高野氏に聞く、プロダクト開発の舞台裏

                       海外人材を採用したいと思っていても、そのメリットや実際のワークフローが想像しにくく、なかなか踏み切れないというお悩みをよく伺います。すでに海外人材を雇用している企業では、どのようにして受け入れ、どんな効果を出しているのか? 今回は、最大95%の節水率を誇る超節水ノズルや、「水ですすぐだけで油汚れも細菌も落とせる食器」などの革新的なプロダクトを生み出すDG TAKANO社長、高野雅彰氏にお話を伺います。 DG TAKANOが生み出すグローバルな課題を解決するプロダクトは、国内の大企業のみならず、海外からも注目を浴びています。そんなプロダクトを生み出す舞台裏には、インド人エンジニアの存在があったそう。インド人エンジニアの採用で、DG TAKANOにはどのような変化があったのか。採用のきっかけや雇用後の実情について、弊社代表の西山が聞きました。 世界を見据え、海外人材を採用 西山:本日はよろしくお願いします。最初に、DG TAKANOについて簡単にご紹介ください。 高野:DG TAKANOは元々、私の父が経営していた東大阪の町工場の技術を受け継いで立ち上げたスタートアップです。父の代では、業務用ガスコンロの部品を作っていました。私はその事業ではなく、機械と技術を受け継いで今の時代に合ったものを作っていこうと考えました。そしてできたのが、最大95%の節水率を誇る超節水ノズル「Bubble90」です。現在、国内の大手レストランやスーパーで数多く導入いただき、節水に貢献しています。最近では、油汚れが水だけで落とせるお皿を開発しました。一般消費者向けに販売を始めています。 西山:ありがとうございます。海外人材の採用というと、リソースがある大企業、中でもそIT関係の企業のみが行っている、といったイメージが強いのではないかと思います。しかし、東大阪の工場からスタートした高野さんが実際採用されている。初めに、そもそもなぜインドの方を採用しようと思ったのですか? 高野:まず起業した当時から、外国人は採用しようと思っていました。Bubble90は、世界の水問題を解決したいと作り始めた製品だからです。日本ではなく世界がマーケットだったので、それに対応した人材を採用していくべきだと考えていました。ビジョンに共感してくれる人はどの国籍だろうと採用しようと門戸を広げていたのです。その中に、インド工科大学(IIT)の人材という選択肢もありました。採用してみると能力がぶっ飛んでいたので、どうやってIITからより優秀な方を採用するか、戦略的に取り組んでいます。2019年から採用イベントに参加するようになり、現在は新卒だと日本人より多い人数をIITから採用しています。 経営計画を変えるほどのインド工科大学生の力 西山:IITはインドに23校ある理系のトップ大学で、毎年100~200万人受けて1万人しか受からない狭き門と言われていますよね。卒業生がGoogleのCEOやインドのユニコーン企業の創業者になっていて、世界から注目されています。彼らは何がそんなに優秀なのでしょうか。 高野:年齢的には20代前半なのに、異なるいくつかの分野で深い知見を持っているんです。例えば化学的な知識や経験がありながら、ロボットにも精通していて、プログラミングも書ける。そこまでの知見を得るのは一つの分野でも難しいのに、小学生が大学受験するくらいのスピード感で学んできた人たちですよ。なんでこんなことができるのか聞くと、「専攻はこの分野だけど、今は興味があってこういう分野を勉強しています」と返ってきました。すごいですよね。彼らの知りたいという探究心、学びたいという強い意欲が能力につながっているのだと思います。 異なる複数の分野の能力を一人が持っていると、とても強いんです。だからこそ出せる発想があるというか。例えば先日、アメリカのある特許技術を持った企業と組んで、研究開発をしようとしていたんです。すると、その担当につけたIIT卒の新入社員が、「この会社と組む必要はないです」と。「自分がもっと効率の良いやり方を見つけたので、この特許を使う必要がないです。それより、こういう特許をとったほうが強いと思います」と言ってきたんです。その分野の専門ではなかったのに、すでに国内の専門家よりも高い知見を持っていました。 高野:一つの分野を極める人が多い中で、いくつかの分野で80%くらいまで知見を持っていると、そういう人にしかできない解決策が見つかるんですよね。 西山:異なる分野の知識を持っているがゆえに見えてくるソリューションの提案があるんですね。日本の良さにインド人材のそういう部分を掛け合わせると、違った問題解決ができるのかもしれませんね。実際にインド人材を雇用されてみて、どんな変化がありましたか。 高野:良い意味で、経営計画を変えることがあります。元々自分達が計画していたプロジェクトで必要なもの以上の能力を持っていたので、その子のために新しいプロジェクトを立ち上げました。研究開発をやってもらっています。能力がいろいろあるので、なるべくやりたいことができるポジションにつかせてあげたいと思っています。 彼ら、彼女らは、日本人とはモチベーションの源泉が少し違います。日本人のプログラマーは、「この言語はニーズが高まるだろうから覚えよう」と習得していく人が多い印象があります。インド人にもその気持ちはあるでしょうか、それ以上に本気でものづくりが好き。プログラミングが好きで、何か自分で作ってみたいという気持ちがある。なので、好きなことができる環境を与えてあげれば自分でアクセルを踏みますね。 西山:内発的なモチベーションが成果に繋がるんですね。そういう環境を与えるのも難しいのではないでしょうか。 高野:組織が大きくないので、柔軟に対応しやすいところはあると思います。元々、私たちの会社は協力しあってお互いの夢を叶えようというコンセプトで作っています。派閥や足の引っ張り合いがないので、やりやすいのではないかと思いますね。 加えて、インド人材を採用することで、一緒に採用した日本人にも刺激になっています。例えば新卒で入ってくれた東大の院を出た学生は、自分に自信がありました。でもそういう学生が、IITの学生をみて天才だと言う。よく、東大生をとって最初にやらなければならない仕事は、鼻っ柱をへし折ることだと言われます。そんなことをしなくても、世界には優秀な子たちがたくさんいるんだということを、一緒に働く中で感じられるのです。自分が一番優秀だと思う環境にいるのと、負けてられないぞと切磋琢磨できる環境にいるのでは全く違いますから。なので、IIT卒の学生たちと働きたいと応募してくる日本の学生もいます。 学生に刺さる強み、「ものづくり」と「デザイン」 西山:IITの卒業生が働く日本企業は多くないですから、一緒に働きたいと思う日本の若手や学生は多いかもしれませんね。そもそもIITは、大学側が決める独自の採用システムがあり、採用したくても学生に選んでもらうのが難しい状況があります。 DG TAKANOが選ばれる理由はなんでしょうか。 高野:戦略がはまっていると思います。種明かしをすると、ITエンジニアは欧米の人気企業に持っていかれやすいんですよ。しかし、ものづくり系のエンジニアは日本企業にリスペクトがあります。インドはITは強いけれど、ものづくりは日本の方が強い。そのため、ものづくり系のエンジニアの採用を強化しています。 加えて、デザイン会社だということが刺さっていると思います。一般的なものづくり企業に就職すると、その企業の技術を使ったものしか作れません。ハンドルだったりタイヤだったり、作るものが決まっていますよね。でもDG TAKANOは、日本では珍しいデザイン会社です。デザインというと、外見のフォルムをイメージする人が多いですが、デザインの本当の意味は「設計」です。どんな課題をどう解決するのか考えるのがデザインです。 私たちは、どんな課題をどう解決したいのか考えて、それに必要な技術を集めます。製品は部品の集合体。その部品は、日本の尖った技術を持った中小企業が持っています。やりたいことをデザインしたら、日本中の技術を使ってそれをつくれる。そんなふうに伝えています。 西山:ありがとうございます。ものづくり×デジタルは、日本の魅力が出せる大きなポイントですね。複数の分野を学んでいることも、デザインに生きてくる感じがします。 言語の壁は高くない。人材が流動化する時代を生き抜く 西山:海外人材の採用には、言語が壁になるというお話も聞きます。高野さんは英語が得意ではないとお聞きしましたが、コミュニケーションはどうしてきたのですか。 高野:私は、言語の壁はそんなに高くないと思っています。今は簡単に翻訳できるツールも増えてきていますよね。それよりも一番大事なのは、仕事への前向きさややる気だと考えています。やる気のない人をやる気にさせるのは難しいですよ。それよりも、やる気があってコミュニケーションが難しい人とコミュニケーションを取ることの方が簡単だと思います。 それに、仕事の内容が小説を書くことだったら難しいと思いますが、ものづくりの現場においてはさほど大変でもありません。図面を見たり、プログラミングを書いたりしながら話せるからすごく楽ですね。絵を書きながら話したら通じることも多いです。 加えて言語の壁と言っても、IITの卒業生なんかは優秀なので、1年後には日本語がペラペラになっていますよ。 西山:なるほど。彼らの方が日本語も話せるようになるんですね。ちなみに、IITの卒業生の定着率はどうですか。 高野:IITだから定着率が低いという印象はありません。今は日本人でも3年くらいで転職していく時代です。これから終身雇用に戻るとも考えにくいでしょう。その中を生き抜いていけるような体制に、会社側が変わっていかなければならないと考えています。やめない社員がいることに胡坐をかくのではなく、遅かれ早かれみんな組織を出ていく。残ってくれたらラッキーくらいの心境で、今から早めに3年で稼げる仕組みを作らなければいけないと思います。 西山:3年は目安ですか? 高野:そうですね。うちは夢を追うために成長することを推奨しているので、それくらいで独立する人もいます。以前デリー大学を出たプラズマ研究者の女性社員を雇っていたときは、うちの環境に影響を受けてイーロン・マスクなどの本を読むようになり、インドで起業しました。独立したり違う会社に行ったりしても、違う契約で繋がれば良いだけだと考えています。彼女はインドで環境問題に取り組んでいるので、我々が助けられるところは助けています。 西山:独立した方とも繋がりを持っているんですね。卒業した方をみて、また優秀な方がDG TAKANOに夢を持って入ってくるかもしれません。ロールモデルは重要ですね。 最後に、海外人材の採用を考えている方に一言、メッセージをお願いします。 高野:これからは、海外人材の採用は必須の時代になってきます。じゃあいつ始めるのか。早く始めた方が絶対有利だと思うんですね。海外人材を採用し、マネジメントしていこうとすれば、宗教や文化の違いなど、日本人採用とは違う問題が出てきます。それをどう解決するか。みんなが通る道だからこそ、自社なりに解決策を考え実行することが重要です。先駆者になることで、結果的に自社に有利になると考えています。